戦国中山王方壺を習う(89)

(皆)賀夫古   (諸侯も)皆な賀す。夫れ古の

」(皆):[説文]の字形は「比」と「白」からなりますが、金文などの古い字形は人が並ぶ形「从」(ジュウ)と祝祷の器「曰」(エツ)とからなります。祝祷によって多くの霊が降臨することを表す字です。戦国中期で楚国の陵墓であった郭店などから出土した楚簡にこの構成による字例があります。ただ、音の関係については詳らかではないようです。

「賀」:「加」と「貝」とからなります。《字通》には「加は力(耜(すき))を祓い清めてその生産力を刺激する儀礼。貝は魂振り、生産力を刺激する呪器」とあります。中山諸器では唯一の字例です。

「夫」:3回目です。

「古」:聖器である干(盾)「十」を祝祷の器「」の上に載せて護る形の字です。中山諸器では唯一の字例です。なお、中山篆では「」を「日」のように一画増やすことがあり、「否・告・舎・啇」などがその例です。

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