観星楼ギャラリー

これまでに制作した書・篆刻作品の一部をご紹介します。

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私の課題

現在の書道展では、代表的な公募展「日展」を例にとるとわかるように、書は漢字・仮名・調和体・篆刻とジャンルが細分化・分業化されることがまるで常識のようになっています。しかも、篆刻は39㎝×30㎝という小さい額に印影1枚(4顆まで)と厳格に規定し、装飾的な部分を排して印そのものの表現力を評価しようとしています。そのことは審査の対象としては理にかなったことかもしれません。しかし、果たしてそれでよいのだろうかと疑問を持つ人も少なからずいるのではないでしょうか。

書部門のなかで他と篆刻を別のジャンル立てにすることは、あくまでも公募展の都合に合わせただけのことですが、いつのまにか身近な作品発表の場においても「書」と「篆刻」を分けて扱うことが一般的になってしまったようです。しかし、第一に篆刻は篆書という書体を中心に扱うこと、第二に漢字を筆で紙に書くか、刀で印材を刻むかという違い、この二つの点こそあれ、結局、書芸術として本来は一体のものであるはずです。書を学べば、やがて書体の変遷についての知識を求めて甲骨文の時代まで遡ることでしょうし、篆刻を学べば、刀の扱いが書法に通じ篆書に限らず書の心得が不可欠であることを悟るようになっていきます。篆刻が印を見せるだけの形式ではなく書の中に融合した姿で表現できないものか。そして、篆刻そのものの表現についても、毎度同じかつ師風追従の画一的な表現から抜け出して幅広く篆書の世界を渉猟し楽しむこと、このことが近年の私の課題となっています。

書とどのような関わり方をすべきなのか、冷静に考えれば自明のことなのですが、流派や時流にこだわらない不易な方向性こそが大切であって、書の歴史や漢字の成り立ちなど書に関連するさまざまな領域に目を向けることが多くの刺激を得ることにもつながっていきます。それによって表現の幅や奥行きは広がり、技術面ばかりでなく、ものの価値を見極める審美眼も培われていくのだと思います。

ここに挙げた作品は、まだまだ試行錯誤の段階で未熟な作品ばかりですが、ご高覧をお願いいたします。なお、審美眼を養うために少しずつ集めてきた原拓、印、印譜、書画などのコレクションも、若干ではありますが随時紹介していきたいと思います。

 

最初にご紹介するのは書と篆刻のコラボした作品です。

『師古遊心』

上の書は中山国の篆書。下の印は右から古璽体、印篆、甲骨文の3態で「師古遊心」と表現しました。

 

『学者鐘』

[者鐘]は戦国期篆書を代表する名品の一つ。

 

『風声』

「風声」を楚簡による書と甲骨文による篆刻、そしてアンティークステンドグラス、これらをコラボした作品です

 

『学趙孟頫赤壁賦』

趙孟頫の[前後赤壁賦]は蘭亭序を学んだあとが窺える名品。

 

『観海』

「観海」を書と篆刻のコラボによって表現する試みです

 

『学曹全碑』

[曹全碑]の臨書と抽出した佳句による篆刻とのコラボ作品

 

書と篆刻のコラボした作品以外もあります。

『紺紙金泥銀罫呪文結界般若心経』

[賢愚経]のイメージによる写経

 

『臨史頌簋』

[史頌簋]は西周後期を代表する青銅器の一つ

 

他の作品は、[観星楼ギャラリー]の[書道作品]と[篆刻作品]に紹介してありますので、是非ご覧ください。