戦国中山王圓鼎を習う(4)「曰於虖語」

隹十四年、中山王作鼑。于銘曰、於虖、語不(發)哉。寡人聞之。蒦(與)其汋(溺)於人施、寧汋於淵。》

隹(こ)れ、十四年、中山王□(せき)、鼎を作る。銘に曰く、於虖(ああ)、語も□(悖・もとら)ざる哉(かな)。寡人之を聞けり。其の人に汋(おぼ)れんよりは、寧ろ淵に汋れよと。》

「曰」:祝詞や盟誓を収める器の上部の一端が開けられた形。神意が示され確認する様。すらりと伸びる縦画は筆を立て、慎重に運筆することが求められます。

「於」:鳥を含む字形ですが、なお不明な点があります。西周金文にこの字形のもとになったと思われるものがあります。鳥の右脚を字の中央に配して書くとまとまりやすくなります。

「虖」:声符は「乎」で、神事の際に用いる鳴子板の形です。「虍」も音は「こ」となります。虎頭の飾りをつけていたか、虎が神事に関して意味をもっていたのかもしれません。左右の渦巻きは鳴子板の音を発生させる舌状の板を装飾化したものと思われます。上部から中央を切って左下へ展開する流れを意識して字形をまとめます。

「語」:声符の「吾」は祝詞を入れる器に板を交叉させた蓋を二重にのせています。これに対し、偏の「言」は祝詞を入れる器の上に入れ墨刑のための針「辛」を載せています。 白川静氏は、「言語と連称し、言は立誓による攻撃的な言語、語は防禦的な言語である」としています。 中山国の篆書では、偏旁ともに同じ大きさにせず、縦の長さを変えたり位置をずらしたりして長脚を強調させるようにします。

 

 

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