戦国中山王圓鼎を習う(27)「邦又(有)厥忠」

「邦」:2度目です。声符である「丰」(ほう)は神木の苗木を植えて育てる象や実った禾(いね)などの象。旁は「邑」で、国を建てることをいいます。中山篆には「丰」の下に地面を示す字形もあります。偏の肥点は中央より若干上に、旁の折り返す部分の位置にほぼ揃えて書きます。

「又」:右手の形を金文では「右」や「有」、「佑」などの意で用います。「有」は甲骨では「㞢」や「又」の形になりますが、金文では「肉」(月)を添えるものもあります。中山篆では「有」の基本構造は「又」、渦巻きの部分は飾りとみて良いと思います。一方、中山篆の「右」は「又」と「口」(さい)からなります。

「氒」(厥):「氒」(けつ)は甲骨と金文で「氒(そ)の(徳)は…」などのように用い、文献では「厥」の字をあてます。このように諸家はこの字を「氒」(けつ)の形としていますが、この活字体の形は実際の形を反映していません。同音の「夬」(けつ、ゆがけ)との関係も気になるところです。

「忠」:中(ちゆう)が声符で、説文に「慎(つつし)むなり」とあって、心を尽くすことをいいます。「心」の左右に広げる画を褶曲させるところが難しいところです。