戦国中山王方壺を習う(72)

「幸(甲)冑ム(以)(誅)   甲冑を(蒙り)、以て(不順を)誅す。

「幸」(甲):受刑者に処する手かせの形です。音通によって「甲」の意となります。中山諸器では唯一の字例です。

「冑」:頭に被る飾りがついた兜(かぶと)の形。西周金文には兜の下に目がつく形があります。もともとは「皇」の上部にある玉飾りと同じ形と頭に被る様を表す「」(ボウ)とからなる字であって、下は「月」ではありません。ただ、音であるチュウとの関係は不詳です。「甲冑を蒙る」とは自ら戦に臨むことを指しますが、この表現はこの戦乱に明け暮れた春秋時代の歴史書である『国語』晋語六にもみられます。

「ム」(以):12回目です。

」(誅):木を用いて水銀を薫蒸抽出する様とされる「朱」が声符、「戈」(ほこ)とからなる字で、「誅」に相当します。これも中山諸器で唯一の字例です。燕国を誅伐したことを指しています。

 

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