戦国中山王方壺を習う(37)

「貳其心受」 其の心を貳つにせ(ず)、(任を)受け

 

 

「貳(弐)」:中山諸器の中でこの字の例はこれが唯一のものとなります。この字は本来、刀を指す「戈」と鼎の象である「貝」と数詞「二」とからなり、鼎に刀をもって銘を刻み、鋳造によって副本が作られることを表しますが、中山篆では鼎の部分「貝」が「月」(にくづき)に譌変しています。

「其」:3回目です。

「心」:心臓の形に象る字です。この字も中山諸器で唯一の字例となりますが、「心」を含む字となると、「忘・志・忍・忨(愿・願)・忠・忽・念・怒・恐・恕・訓(順)・恁・寅・勞・惑・惠・寍・愚・慈・肆・德・慮・憂・憚・憼(儆・警)・憶・謀・懼」などが挙げられます。

「受」:盤を表す「舟」の上下に手を配した授受する象です。文意から判断すると、ここでは「受」の意で用いています。盤の形「舟」が変形してしまっていますが、包山楚簡にもこれと似た傾向がみられます。

 

 

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