戦国中山王方壺を習う(49)

(業)乏其先」  業を(絶ち)、其の先(王の祭祀を)乏ひ

」(業):「菐」の部分を構成する「」(ボク)は土木工事でいわゆる版築に用いるもの。空気を抜きながら土を固めるために先が櫛状に突起した道具です。これを両手で持つ形が「菐」で、「」は修祓のため祝禱の器「」がそれに加えられた形をしています。

「乏」:ここでは「うしなう」意となります。「乏」を白川静氏は仰向けになった屍体であるとし、また、字形からは「正」との近似性を認めることができます。そのことに関しては、「乏」と同音で、同様に屈葬の屍体を表したものに「亡」があり、その用例に「止」と近いもの(克鼎)があることからの孳乳(派生)かと思われます。なお、「乏」の金文は中山器以外での用例が知られておらず、同《兆域図》には略体があります。

「其」:4回目です。

「先」:2回目です。