戦国中山王方壺を習う(79)

「曾亡(一)夫   曾ち一夫の(救うも)亡し。

「曾」:中山諸器で唯一の字例です。字訓は「かつて・すなわち・なんぞ」など、ここでは「すなわち」です。字形は甑(こしき)を表し、湯気の立ち上る様が「八」となり、これに蓋をしたものが「會」となります。

「亡」:2回目です。前回の「」が「ほろぼす」として用いたのに対し、これは「なし」の意で使っています。

」(一):中山諸器で唯一の字例です。「鼠」(ソ ねずみ)と「一」から構成されますが、この字の他の用例が見当たらず、詳細は明らかではありません。「鼠」の上部は特徴でもある「歯」を強調したものです。「鼠」を含む字は[説文]に19字、[玉篇]に57字、[今昔文字鏡]には異体字を含めて150以上収録されています。

「夫」:先の「大夫」の合文とした字例に続き2回目です。

 

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