戦国中山王圓鼎を習う(48)「長事愚女」

社禝其庶虖。厥業才(在)祗。寡人聞之。事少(小子)女長、事愚女智。此易言、而難行施。非恁與忠、其隹能之。其隹能之。隹(吾)老貯(賙)、是克行之。》

社稷 其れ庶(ちか)き虖(か)。厥(そ)の業は祗(つつ)しむに在り。寡人之(これ)を聞けり。少(小子)に事(つか)ふること長の如く、愚に事ふること智の如しと。此れ言ひ易くして行ひ難きなり。信と忠とに非ずんば、其れ誰か之を能くせむ。其れ誰か之を能くせむ。唯だ□(吾)が老貯のみ、是れ克く之を行ふ。》

」(長):2回目です。「長」は年長者、長老を表しています。中山国の篆書では、「立」をもって部首を入れ替えたり追加することがあります。これ以外には「創」、「節」、「廃」、「僮」などの例があります。「立」の下を空けて「長」の脚を長く見せます。

「事」:前回に続いて2回目です。前出のものよりも、吹き流しの垂れを長く表現しています。

「愚」:「禺」(ぐ)を白川静は頭部が大きい虫の形と推測し、蛇形のものが相交わる形とも考えられるとしています。「田」が頭を表す場合は上部を少し尖らせたり角を出すことがあります。この「禺」と「心」を重ねるのはなかなか難しかったことが窺えます。

「女」(如):対句表現のところですから、「事」と同様に再登場です。中央の縦画は、最初の横画のところで方向を変え、一気に地を刺すようにして書きます。