戦国中山王圓鼎を習う(38)「方壯智(知)天」

「方」:おどろおどろしい字。屍(しかばね)を横木に架けて晒した状態です。これを他国との境界に置いて呪禁としました。字形からすると、横木に架かっているのは、「化」の旁にあたる屍が逆さになった姿「匕」(か)の逆向きになったものと思われますが、音が(ほう)となることから、「方」の音に近い、人の右向きの形「ヒ」(ひ)(※匙や小刀とする説もあります)なのかもしれません。筆順については、先ず横木を書き、次は金文諸例の通りに縦画から横木を越えたところで右に展開し、最後にその方向を変えたところから左下へ斜めの線を書くのが良い気がしますが、そうでなくとも構わないと思います。

「壯」:声符である「爿」(しょう)と鉞(まさかり)の刃を下にした形で王などの身分を示すための儀器「士」からなります。白川静は「爿」は一般的に、版築の版木の形と、牀(とこ)に従う形との二系があるが、この場合の「爿」は殷代金文にみられる氏族標識に出てくるものに関係がある」と説いています。

「智」(知):3回目となります。「知」として用いています。「干」(かん)の膨らみは、「矢」の右横画の位置を目安に、祝祷の器(さい)もその位置にあって包まれるようにして収めます。

「天」:5回目です。各画の長さと位置の関係や脚の分岐する位置などを確認して書くと良いと思います。