「克」:「克」と「又」から構成されていますが、「克」の意となります。前回に続いての登場です。「克」は木を彫り刻む器の形で、上部は把手、下は曲刀の形。左に垂れ下がった部分が曲刀の刃にあたります。
「卑」(俾):「卑」はひしゃくの柄を持つ形です。左側を揃えて書き、柄が右下に伸びる様を強調します。前回からの続きとして、「克順克俾」(よく順にしてよくしたがひ)と読みます。李学勤は『詩経』皇矣篇にある「克順克比」を引用したものが『礼記』楽記篇に「克順克俾」となっていることを指摘しています。漢代魯の學者であった毛亨(もうこう)らが伝えた詩経の解説書「毛伝」には「慈和にして遍(あまね)く服するを順といひ、善を択(えら)んで従ふを比といふ」とあります。
「亡」(無):屈葬による残骨の形です。前回は辶が入った形でした。死者の残骨の形としては他にも「乏」、「巟」(こう、頭髪の存する象)などがあります。「臣」と同様に下部に重心を置いて上部の伸びやかさを強調します。
「不」:2度目となります。花のがくふの膨らみ部分を極端に小さくして下方へのベクトルを際立たせます。