戦国中山王方壺を習う(94)

「孯(賢)人至(寵)   賢人は至り、寵(愛)

「孯」(賢):5回目です。

「人」:4回目です。

「至」:[説文]では鳥が地に下る象としていますが、これは射られた矢が地に至る象です。古代、廟屋などを設ける際に矢を射して場所を決めました。「室・屋・臺」などがその関連字です。円鼎と方壺に1例ずつあります。

」(寵):この字の解釈については諸説紛々としていますが、ここでは「寵」(チョウ)とする説をとります。「寵」とする説は、この「」が「厂・歩」を構成素としていて「龐」(ホウ)と声が近く、同じく龍の姿をした神の居所をさす「寵」に通ずると判断されるものです。他にも「歩」の声によって「拊・撫」とする説があります。小南一郎氏は『戦国策』齊策四に孟嘗君とのやりとりの中での馮諼(フウケン)の言葉「今君有區區之薛、不拊愛子其民」(今、君、区区の薛をたもち、拊愛して其の民を子とせず)に「拊愛」の語があることを指摘しています。なお、「」を異体字にもつ「願」であるとする説もありますが、この方壺中、「願」に対して「忨」の形をした字を通仮させていますので、首肯しかねます。