戦国中山王方壺を習う(80)

「之(救)述(遂)定   (一夫の)救うも(亡し)。遂に…を定め

「之」:9回目です。

」(救):中山諸器では唯一の字例です。呪霊をもつ獣である「求」に「戈」(ほこ)を加えた形で、「救」に通じています。「救」は呪霊をもつ獣を叩いて他者からの呪詛から救う意の字で、この場合は叩く道具が戈に代わった形です。

「述」(遂):「遂」と声が近い「述」に通仮させています。「述」の「朮」(ジュツ)は「求」と同様に呪霊をもつ獣で、これによって道路の修祓除霊をする様を表した字が「述」となります。なお、「朮」には「おけら」の意もあり、穴の土を手で掻き出す象と見れば、手「又」の間にある2点と下の左右にある2点は掻きだした土片と見ることができます。後に、「深」のところでもその関連に触れます。

「定」:廟屋や家屋を表す「宀」(ベン)と「正」とからなります。方壺のこの字形は「正」の上に横画を増やしていますが、円鼎では増画していません。

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