「(遭)郾(燕)君子」 燕君 子(噲)の…に遭う。
「」(遭):「」は「曹」の異体字の一つで、「遭」に通じます。「曹」は裁判の当事者双方から提供されたものを入れる橐(ふくろ)を並べた下に盟誓を収めた器「曰」(エツ)を配した構成であり、「」はその省体です。
「郾」(燕):3回目となります。
「君」:神杖を持った聖職者を表す「尹」(イン)と祝祷を収める器「」(サイ)とならなる字です。中山篆は「尹」が変化していて、これが説文の両手に順う別体の一系となります。
「子」:2回目です。ここでは燕国の易王の子で紀元前320年に即位した「子噲」(シカイ)を指しています。子噲は宰相子之(シシ)に禅譲し国政を委ねたことで国が乱れ、その機に乗じた齊によって燕国が倒されることになります。