戦国中山王方壺を習う(42)

「明(闢)光(適)」 (以て)辟の光を明らかにす。適(たまた)ま、

「明」:窓の形「囧」(ケイ)と「月」とからなります。「囧」は窓枠や窓の格子の形を表していると思われますが、その形状は複数あってこの字の様に中が点の様にするものは既に甲骨文にも認めることができます。なお、現在は「日」の形に変形してしまっているために太陽と月からなる字と誤解を招きかねません。

」(闢):2回目です。この字は本来、西周金文にあるように門を両手で開く形。「辟」は人の側身形と曲刀とそれによって腰をそぎ落とした肉塊とからなる字で「切りひらく」意があり、後にできた形声字です。「」に関連する「開」はその門の閂(かんぬき)を両手で外し開ける形です。

「光」:「火」と「儿」(ジン・ニン ひとあし)とからなり、火を掌る人を表す字です。中山篆では周囲に放つ光彩を4つの画で装飾的に表現しています。

」(適):「適」と通仮して「たまたま」の意となります。「啇」は「帝・口」の構成による「啻」(テキ・シ ただ)と同じです。中山篆ではこの「」の「帝」に肥点を加えていますが、単独の「帝」には入れていません。なお、「帝」の一部が「用」の様な形になっているのは、以前「貯」字について触れたとおり中山をはじめとする春秋戦国期にみられる譌変です。