戦国中山王方壺を習う(36)

「右(佑)(厥)(闢/辟)不」 厥の辟を(佐)佑け、(其の心を貳つにせ)ず

「右」(佑):右手をあらわす「又」(ユウ)と祝祷の器「」(サイ)から構成されます。「又」は「右・佑・祐」の初文で、すでに「右」には「たすける」意がありますが、ここでは「佑」をあて、直前の字に続け、助ける意の「佐佑」とされます。

」(厥):2回目です。

(闢)」(辟):開く意をもつ「闢」(ビャク・ヘキ)の金文はこの中山篆の祖系にあたる字形で両手で廟扉を開ける形です。「辟」(ヘキ・ヒ・ヘイ)は人の腰肉を切り取る刑罰をあらわす字ですが、開く意も有しています。さて、この字形をどのように隷定するか。赤塚忠氏は「」とし、小南一郎は「」としています。しかし、これは「」とすべきと考えます。中山三器の同要素を含む字を参照すれば自明なことだす。同要素を含む字は、「戒・朕・送・棄・與」を挙げることができ、その「廾()」(キョウ)には2本の横画を添えるのが中山篆の特徴となります。ただ、不明ゆえに「辟」との関係については了知にいたらない点が残ります。

「不」:3回目です。

 

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