戦国中山王方壺を習う(29)

「余智(知)其忠」 余、其の忠(信なることを)知るなり

 

「余」:取っ手がある細みの刀の形です。「余・我・朕」を身分称号的な語で用いるのは仮借によるものです。中山篆では字形の一部を渦紋にしています。

「智」(知):「智」は「知」に通用する字です。《字通》には「字の初形は矢(し)+干(かん)+口。矢と干(盾)とは誓約のときに用いる聖器。口は(さい)その誓約を収めた器。曰(えつ)は中にその誓約があることを示す形。その誓約を明らかにし、これに従うことを智という。知に対して名詞的な語である」とあります。

「其」:2回目です。

「忠」:声符の「中」は旗竿に吹き流しがたなびく形です。「忠」は心を尽くす様をいい、「まごころ・まこと・ただしい・おもいやり、いつくしむ、こころをつくす、てあつい」などの意があります。