戦国中山王圓鼎を習う(11)「弇夫悟長」

「弇」:合と両手の廾(きよう)からなり、「深い、ひろい」意を持ちます。説文の「蓋なり、合と廾の会意」としている点について、白川静は小篆の字形によって疑問を呈し、その甲骨文の字形から考えると婦人の分娩の形であるとしています。

「夫」:人の正面形である「大」と髪飾りの簪(かんざし)からなる字。男子の正装の姿ですが、それに対して女子が髪飾りをした形が「妻」となります。最終画の斜画の始筆は接点からではなく、少し上部からにすることがポイントです。

「悟」:字形は「豸」(たい)と「吾」からなります。この「豸」は「墜(地)」にも含まれています。腰のあたりにある渦巻き状の飾りは極めて細い刻線であるため拓影に顕れないことがありますので拓から習う際は注意が必要です。

「長」:「立」と「長」からなる字です。「長」は長髪が許された長老の姿。「立」が加えられた字例は戦国時代の韓の編鐘として知られる「□(厂+驫)羌鐘」(ひょうきょうしょう)にも見ることができます。「立」と「長」を緊密にして書きます。

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