戦国中山王圓鼎を習う(7)「其汋於人」

隹十四年、中山王作鼑。于銘曰、於虖、語不(發)哉。寡人聞之。蒦(與)其汋(溺)於人施、寧汋於淵。》

隹(こ)れ、十四年、中山王□(せき)、鼎を作る。銘に曰く、於虖(ああ)、語も□(悖・もとら)ざる哉(かな)。寡人之を聞けり。其の人に汋(おぼ)れんよりは、寧ろ淵に汋れよと。》

「其」:穀物の殻や塵を取り除くための器である箕(み)の形で、其が代名詞・副詞に用いられたために作られた箕の初文。下部は「典」と同様に物を載せるための机や台の形ですが、金文には両手で掲げる形となっているものもあります。

「汋」:ひしゃくの形「勺」を含む字ですが、ここでは音が近い「溺」の意で用いられています。「勺」の形は西周「伯公父勺」の銘文中にある「酌」で確認ができ、ひしゃく本体をあらわす部分とそれに盛られたものをまるい点であらわした部分からなります。下の部分は続けて巻き込むように書くのではなく、最後は点を打つようにして書きます。

「於」:拓によっては鳥の目にあたる部分が2つの点になっているようにみえるものがありますが、その上にあたるものは器面の傷か銹によるものです。

「人」:縦画の位置は、第一画の起点の位置よりも僅かに右に寄せます。線は切り刻む感じで運筆することが肝要です。

 

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