戦国中山王方壺を習う(24)
[使能天不」 能を使ひ、天(…斁は)ず
「使」:ここでは「つかう」の意で用いています。声符の「吏」は祝祷の器を架けた祭木である「中」と手をあらわす「又」(ユウ)とからなる字で、祭事を外地へ赴いておこなう「事」に対して内祭をさす字です。その祭事の使者を「使」といいます。「中」の部分は同じく祝祷の器からなる「者」の下部と同形となりますが、玉飾からなる「皇」の上部でも同じ形にしています。
「能」:[説文]では熊の属としていますが、金文の形はやどかりの類である嬴(エイ)に近いものです。右部の羽根のように見える部分が背負う殻の形が変化したものです。また、「能」が「態」に通じるのは「能」の古音が「タイ」に近いためです。
「天」:正面を向いた人の頭部を強調した形です。上部に一画足すのは春秋以降の諸器にみられるものです。
「不」:2回目となります。