戦国中山王圓鼎を習う(110)「難寴仇人」

《智爲人臣之宜施。於虖、念之哉。後人其庸々之、毋忘爾邦。昔者呉人并粤。粤人斅備恁、五年復呉、克并之至于含。爾毋大而。毋富而喬。毋衆而囂。才彷。於虖念之哉。子々孫々永定保之、毋替厥邦。》 76行 469字

《人臣爲るの宜(義)を知るなり。於虖(ああ)、之(これ)を念(おも)へ哉(や)。後人其れ之を庸として用い、爾(なんぢ)の邦を忘るること毋(なか)れ。昔者(むかし)、呉の人、を併せたり。越人、修教備恁し、五年にして呉を覆し、克ちてを併せ、今に至れり。爾(なんぢ)、大なりとして肆(ほしいまま)なること毋れ。富めりとして驕る毋れ。衆なりとして囂(おご)る毋れ吝(隣)邦も親しみ難し。仇人、旁らに在り。於虖(ああ)、之を念へ哉(や)。子々孫々永く之を定保し、厥(そ)の邦を替(す)つる毋れ。

○「難」:2回目です。(かん)と隹(すい)とからなります。[字通]では「」の上部は鏑矢(かぶらや)、つまり矢を射ると音が出るように鏃のところに鏑(矢の先端につける蕪つまりかぶの形で穴をあけたもの)を付けた合戦開始の合図に用いる矢で、下は「火」であることから火矢であるとし、火矢を以て鳥を獲る象であるとしています。

○「」(寴):「寴」は「宀」(べん)と「親」からなります。[字通]によれば、「神事に用いる木をえらぶために辛(針)をうち、切り出した木を新という。その木で新しく神位を作り、拝することを親という。」とあり、声義が通じる「新」に替えたものと思われます。

○「」(仇):字形からは呪霊を持つ獣「求」と「戈」(ほこ)からなり、獣の皮と戈によって祟りを祓う形です。ここでは「求」と同音の「仇」の意で用いています。

○「人」:14回目となります。

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