「爲」:既出です。右側の腰のあたりの渦巻き文様による装飾的表現が中山篆書の特徴の一つです。筆を垂直にして運筆することで側筆を避けることができます。
「天」:前出のものより、最上部の横画を短く小さめにしたことで、懐が澄んだ張りのある佇まいになりました。
「下」:これも、前出のものより最上部の横画を短くしてより長身な姿にしています。縦画を垂直に紙を刻むように運筆します。
「戮」:頭部の一部と胸などの残骨の形である「歺」(がつ)と両翼と尾羽の形である「翏」(りょう)からなる「戮」(りく)の異体字で、誅殺されることをいいます。「為天下戮」(天下の戮となる)は戦国時代の常套的表現です。この字形には歪みがみられます。器は曲面ですし拓の状態や編集上の貼り付け方で微妙な違いが生じることを勘案し、他の同字を参照しながら習う必要があります。