旧作のご紹介です。「仰観宇宙之大 俯察品類之盛」

王羲之の蘭亭序からとった、白文印「仰観宇宙之大 俯察品類之盛」をご紹介させていただきます。名文として知られる蘭亭序ですが、この部分はその中でも特に美しい表現といえます。実はこれは易経繋辞上伝にある「易與天地準。故能彌綸天地之道。仰以觀於天文。俯以察於地理。是故知幽明之故。」[易は天地と準(なぞら)う。故に能く天地の道を弥(び)綸(りん)す。仰(あお)いで以て天文を観、俯(ふ)して以て地理を察す。是の故に幽明の故(こと)を知る。] を典拠にしています。また、王羲之が詠んだ蘭亭詩の中の五言詩には「仰望碧天際 俯磐緑水浜」という似た表現があり、王羲之の老荘思想を根底にした解脱、達観の心境を読み取ることができます。今回の作品は、その「解脱・達観」に「気満・清澈」のイメージを加えた表現を試みたものです。

仰ぎては宇宙の大なるを観、俯しては品類の盛んなるを察す

仰観宇宙之大 俯察品類之盛〈蘭亭序)     63㎜×63㎜

 

 

 

 

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