戦国中山王方壺を習う(15)

[以憼(警)嗣王]   以て嗣王を警(いま)しむ

「ム」(以):3回目です。

「憼」(警):「敬」は10回目に登場していますが、もともと「敬」は生け贄の羌人と祝禱の器を打って神意に責める字で「いましめる」意を持ち、後に神への心意に特化して「うやまう」意が付加されるに及んで、「いましめる」意に「憼(儆)・警」などが孳乳しました。中山国諸器では方壺で「敬」と「憼」(警)を区別して使用しているのにも関わらず、侯鉞では「敬」の字形をそのまま「憼・儆・警」として用いる例が認められます。戦国期中山篆の鷹揚性ともいえる一例です。

「嗣」:この字について《字通》には「司(し)+口((さい))+冊(さく)。司は祝禱の器()をひらいて神意を伺う意。冊は冊祝して神に告げる意。嗣続の大事を以て神意を問うものであろう」とあります。重複する(さい)を間に据えた構成には中山国人の秀でた造形感性をみることができます。

「王」:3回目です。縦画の位置は「嗣」の「冊」中央の縦画に揃えて書きます。

 

 

 

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