戦国中山王方壺を習う(18)

[成考是又(有)」  成考、是れ(遺訓)有り。

「成」:字通に「卜文・金文の字形は、戈(ほこ)に綏飾としての丨(コン)を加える形。器の制作が終わったときに、綏飾を加えてお祓いをする意で、それが成就の儀礼であった。」とあります。

「考」:声符は曲刀を表す丂(コウ)。〔説文〕によれば「老」と互訓です。また、「老」が「長」(長髪の老人)と人の倒形で屍体の形「」(カ)からなるのに対して、「考」は「長」と腰の曲がった姿に似る曲刀「丂」を組み合わせたものです。また、〔礼記、曲礼下〕には「生前は父と曰ひ、母と曰ひ、死後は考と曰ひ、妣と曰ふ」とあって、父母を祀るときには考妣(コウヒ)を用います。

「是」:匙(さじ)の形。「是」が「これ」などの別義に用いられるに及んで「さじ」は是と同様に「さじ」の意を持つ「匕」(ヒ)を加えた字ができました。

「又」(有):右手の形。金文では「右・有・佑・侑」などの意に用いられます。中山篆では「夕・祀・爲」などのように渦紋を装飾的に追加する場合と「爾・余」などのように点画の一部を渦紋に替える場合とがありますが、この「有」としての「又」は「月」を渦紋に替えたものとみることもできるような気がします。