「逍遙文字遊」

先に投稿した「解文字飲」に因んで、今回は「逍遙文字遊」。

「文字飲」と共に作品にしてみたいと考えていたのが「逍遙」。深遠な金石の世界に遊ぶ様は自在でありたいと思うけれども、恐らくは迷昧なるが故に翻弄されるのがおち。しかしそれがまた楽しいとも思う。《楚辞、離騒》には「遠く集(いた)らんと欲するも、止(とど)まる所無し 聊(しばら)く浮遊して以て逍遙せん。」とあります。「浮遊逍遙」を印文に、之繞(しんにょう)が多重する難題への解答への挑戦も一考したけれど、最終的には、「逍遙文字遊」に落ち着いて取り組んだものです。恥ずかしながら側款も添えました。側款については自分の怠慢によって、先師からご指導をいただくことを佚してしまい、後悔は尽きません。気に入っていた趙之琛(次閑)の模刻を自己流でかじった程度のものです。周囲諸氏の造像記風の見事な刻風に刺激をうけていたのは確かなのですが、自分にはどうしても作為的な匂いを感じてしまって距離を縮めることはできませんでした。それも非力なるがゆえのこと。聊以解嘲。

逍遙文字遊
59㎜×49㎜

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