旧作「遊趙孟頫赤壁賦」臨書と篆刻2顆(2)

今日は蘇軾の前赤壁賦の文中より選んだ2句2顆です。

① 「挟飛僊以遨遊」 飛仙を挟(わきばさ)んで以て遨遊(ごうゆう)し

大意:天上の仙人を脇に抱えて自在に遊んだり

② 「抱明月而長終」 明月を抱きて長しえに終えん 

大意:明月を抱きながら長寿を全うする

この2句の後、「知不可乎驟得、託遺響於悲風。」  驟(にわか)には得べからざるを知り、遺響(いきょう)を悲風に託す。と続きます。

つまり、「それらのことは即座に得られるものではないことを知り、儚き思いを洞簫(笛の一種)の悲しげな余韻にのせ秋風に託したのです」と、蘇軾の「何故あなたの吹く笛の音が悲しげに聞こえるのか」という問いに対して、人の存在を儚きものと悟った同乗の船客が答えるのです。それは都を追われた蘇軾の思いに強く共振(共鳴)するものだったに違いありません。

挟飛仙以遨遊
54㎜×54㎜
抱明月而長終
75㎜×45㎜