書譜より「古不乖時 今不同弊」

孫過程の書譜から「古不乖時 今不同弊」を刻した拙作です。

彼が遺したこの草書による書論は、全文369行3727字が約9メートルの巻子本に仕立てられたもの。深識に裏打ちされた論旨もさることながら、その優れた書格は名品との声を欲しいままにしています。それだけに、生卒官名などが詳らかでないうえ、書譜以外に伝わる著述もない孫過程が神格化されていくのは無理からぬことだと思います。

かつて高校の書道の授業で「書譜」を指導した際には、二玄社から1979年10月に発行された複製を拙宅から持ち込んで教材にしていました。おもむろに教室に広げるた巻子は前後の黒板に接するほどの威容があり、生徒達から上がる感嘆の声は、授業導入の定石ともいうものでした。

今回は、その「書譜」にある、私の好きな句「古不乖時 今不同弊」(古にして時にそむかず、今にして弊を同じうせず)です。

二玄社刊複製書譜

「古不乖時今不同弊」
35㎜×35㎜

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