戦国中山王方壺を習う(11)

[不敢怠荒]   敢えて怠荒せず

「不」:花の萼柎(がくふ)の形。否定・打ち消しに用います。

「敢」:前回の「嚴」に含まれていました。《字通》には「金文の字形は、杓を以て鬯酒(ちようしゆ)をそそぎ、儀礼の場所を清める灌鬯の礼を示す。厳恭の意で、極度につつしむ意。敢てその尊厳のことを行うので、つつしんでの意より、敢てするの意となる。「敢て」とは、つつしんでの意」とあります。

「怠」:声符の「台」は農耕の耜を供える祭事。「台」は「以」(人+ム)と同源であることから、「以」と「心」からなる構成になったと思われます。

「荒」:声符の「巟」(コウ)は残骨から頭髪が垂れたおぞましい姿です。「怠荒」とは怠り、なおざりにする意で、「遑」の字を充てることもあります。なお、頭髪部の装飾的表現は、「獵」(リョウ)字と共通したものですが、「巤」について、白川静氏は「上部は馬のたてがみ、下部は足と尾」と垂れた頭髪とは別のものとしています。「亡」は点を添えるものとそうでないものと2者あります。

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