戦国中山王方壺を習う(9)

[以祀先王]   以て先王を祀らしむ

「以」:前回に続いて2回目です。

「祀」:声符の「巳」(シ)は蛇の象で、「祀」は自然神を祀ることです。この字は方壺に2例出てきますが、飾画の部分は、他方は渦紋となっているのに対して、これは簡略な表現です。2画の間隔は渦紋には狭く、接写画像を確認しても埋銹は認められません。なお、中山篆特有の飾画は外へ開くようにするのが原則になっていますが、この「祀」だけは内側に向けています。おそらくは「巳」の尾を外に開いたことに配慮しての意匠かと思われます。

「先」:「人」の上に強調する動作・状態を示す要素を載せる造字法です。「之」は足の象ですから歩を進めること、先立つなどの意を持ちます。

「王」:2回目。大きな鉞の刃を下にした形です。上の横画二本を接近させます。等分間にすると「玉」となります。