家蔵《封龍山頌拓》延熹7年(164年)を紹介いたします。

《祀三公山碑拓》に続いて、家蔵拓から元氏5碑の一つ《封龍山頌》原拓を紹介します。

二玄社刊『書跡名品叢刊』の松井如流の解説の中に、楊守敬は著書『激素飛清閣平碑記』に「雄偉勁健」(雄々しく立派で力強い様)と評し、中村不折は「…実に気魄の雄大なものである。其の上、此の頃のものとしては古雅の点に於て、他の碑を圧して居る。…之を以て禮器碑の厳格なるに対し、却って此の碑の廓然たる自然味を愛するものが多いのである。亦漢石中の神品というべきである」と讃嘆したとある。確かに、古穆悠然として滋味溢れる風姿には、書人を惹きつけてやまない魅力がある。

家蔵拓は、13行目の「穡民用章」の「章」が欠損しているものの、15行目(松井如流氏は14行と誤っている)の「韓林」の「韓」を存す亜旧拓である。なお、この原石は既に失われているようだ。そのあたりの消息を上海書畫出版社刊「中國碑帖名品 封龍山頌」では次のように記している。

「道光二十七年(一八四七)十一月,元氏知县刘宝楠发现于河北元氏西北四十五里的王村山下,即命工移置城中文清书院。运工嫌其沉重,乃截裂为二,后虽经嵌合,但裂纹清晰可见。此碑民国时尚在文清书院,今又佚。」

封龍山頌(全景)
封龍山頌(部分1)
封龍山頌(部分2)

 

久しぶりにコレクションのページに追加しました。旧拓《祀三公山碑拓》

久しぶりにコレクションのページに追加しました。旧拓《祀三公山碑拓》

祀三公山碑拓(全景)[家蔵]
祀三公山碑拓(冒頭)
祀三公山碑拓(右行尾)

祀三公山碑はこの部分が重要で、新拓は大きく欠損しています。「惟」の立心偏が小篆のような姿態をとっているのはユニークですね。一行目の下から二番目の字。これを何と判断するか。偏は手偏にもさんずいにも見える。下の「惟」の立心偏を敢えて小篆風に変化させたと考えれば、これも立心偏と見ることさえできるかもしれない。

祀三公山碑拓(前半行尾)

海外から印稿(印のデザイン)の依頼がきました。

ポーランド(Republic of Poland)の方から印(hanko)のデザイン(design)を頼まれました。

日本文化にとても関心があり、ポーランドでは弓道を習われているほど。

その弓道の先生から、彼の名前の通称として、日本語読みの「そてつ(sotetsu)」とその音に充てた漢字の表記「相鉄」をつけていただいたそうです。

早速、3種の印稿を作成し、彼のもとへ送ったものを紹介します。彼は3番目の円形のデザイン(金文体)が気に入ったとのことです。

ポーランドの《そてつ(相鉄)sotetsu》さんの為の印稿3種

 

5年前の個展出陳作品 《説文解字叙最終節》です。

5年前の個展出陳作品 「説文解字叙最終節」です。

先師の書風を標榜しつつも、自俗の桎梏から逃れられない姿を曝し、自らを省みる墓標のようなものですが、時々見直しをして、陥りやすい不具合を確認しています。

204㎝×69㎝×4

ホーム(書と篆刻のアトリエ探訪)                

 

説文解字叙最終節1
204㎝×69㎝
説文解字叙最終節2
204㎝×69㎝
説文解字叙最終節3
204㎝×69㎝
説文解字叙最終節4
204㎝×69㎝

「道在邇」・「道在邇而求諸遠」(『孟子』離婁章句)二印を紹介させていただきます。

「道在邇」・「道在邇而求諸遠」(『孟子』離婁章句)二印を紹介させていただきます。

人がとるべき道は、決して遠くにではなくすぐ近くにあるもの。しかし、往々にしてそのことに気づかずこれを遠くに求めてしまいがちです。

道在邇而求諸遠。 みちちかきにり、しかるにこれをとおきにもとむ。
事在易而求諸難。 ことやすきにり、しかるにこれかたきにもとむ。
人人親其親、    人人にんにんおやおやとし、
長其長而天下平。 ちょうちょうとせば、しかるに天下平てんかたいらかなり。

「道在邇」
小篆  54㎜×54㎜
「道在邇而求諸遠」
中山篆 40㎜×40㎜

なお「邇」は「爾」とも表記するが共に通ずる字である。白川静著『字統』には「邇」の用例について次のように説明している。(部分)

 

漢字学の泰斗《白川静》先生のために刻した印です。

漢字学の泰斗、白川静先生のために刻した印を紹介します。

もう随分前になります。白川静先生が文字文化研究所(初代理事長は中田勇次郎、現在は改編し日本文字文化機構と改称)の理事長であった時分、常任理事の宇佐美公有さんは漢字普及委員会を立ち上げ、子供たちに漢字の魅力と正しい理解を普及させるための教材作りに取りかかりました。その際、小生が宇佐美さんからその委員会の副委員長にとのご推挙をいただいたのは恐縮の至りでした。

この印はその頃、宇佐美さんが仲介に入り、白川静先生のための印を刻すようにとの命を賜り制作したものです。恐れ多いご拝命に終始緊張した仕事でしたが、奇をてらうことなく、品格を出せればと念じたことを思い出します。

白川静先生用印「白川静印」
21㎜×21㎜
白川静先生からのお手紙
第9回文字講話会場講演風景
気迫溢れる白川先生のお姿に聴衆は皆魅了されました。
この写真は宇佐美さんからご提供いただいたものです。
文字講話後に「漢字の縦書きの淵源」について質問させていただきました。