公開講座「生誕110年記念 白川静『文字講話』に学ぶ」の実施報告です。   

 

開催要項

生誕100年記念 白川静『文字講話』に学ぶ、干支印を彫ってみよう案内

受講された方の人数

9月27日(日) 白川静『文字講話』に学ぶ (1日目)  51名

10月11日(日) 白川静『文字講話』に学ぶ (2日目)  46名

10月17日(土) 文字講話実技編 篆刻講座「干支印を彫ってみよう」 22名

使用したDVD

白川静「文字講話」DVD完全収録版

第11巻「第二十一話 甲骨文について」・「第二十二話 金文について(Ⅰ)」

解説用パワーポイント

今回のために作成したもの 3種

配付資料

1.白川静「文字講話」に学ぶ 

   第1回甲骨文について 「白川静 続文字講話」(平凡社)

   第2回金文について  同 

2.篆刻講座「干支印を彫ってみよう」

   パワーポイントのスライドを印刷したもの

※熱心に聴講していただきありがとうございました。

 

『文字講話』のための参考資料(PowerPoint)の一部をご紹介します。

(矢印をクリックすると閲覧できます。)

文字講話解説用パワーポイント資料(一部)

 

次は2日目 『金文について』解説資料(PowerPoint)です。

白川静 文字講話に学ぶ 金文について プレゼンテーション2

 

[会場風景]

 

篆刻講座「干支印を彫ってみよう」テキスト(PowerPoint)を紹介します。

(矢印をクリックすると閲覧できます。)

令和2年篆刻講座干支印でおしゃれな年賀状作り

 

[会場風景]

[参考印稿]

l¥.pptx

 

[受講者の印稿・印影と添削](例)

仮名作品用雅印「龢」をご紹介します

今回ご紹介するのは、仮名作家の先生からご依頼をいただいた雅印です。

お名前の一字である「和」による印とのことでしたが、同声、同義に用いる「龢」によって制作しました。

「和」は軍営の門にて講和盟約をする象であるのに対し、「龢」の「禾」は禾黍であり、農耕祭祀において神へ奉納する笛による楽舞が美しく調う様を表しています。やや大きめの印面に収め、柳絮天を舞うが如く躍動する仮名表現に適うよう、「龢」の甲骨文のフォルムを採用しました。流麗な仮名美に、やや直線的で近代性を匂わせる瀟洒な表現を目指しています。公開についてご了解をいただきましたので、印影と印稿をご紹介します。

「龢」
「龢」3.5×1.7

雅印『翠龍』のご紹介

ご依頼により制作した雅印をご紹介します。印文は雅号『翠龍』です。

書体は楚簡風でとのご希望です。「翠」には金石の古い字例がありませんが、戦国期楚系の簡帛にまとまった字例がみとめられます。「翠」はみどり、カワセミの意を持つ字ですが、下部にある声符の「卒」は、本来「死卒」つまり死者の衣の意で、死者の霊が迷い出ないように衣襟を合わせ閉じる姿です。

この「卒」は楚簡では衣の上に手を添えているものがありますが、「翠」になると、その手の形が「首」、「自」、「目」などに訛変(誤って変わってしまうこと)してしまうことがわかります。さらに「衣」の部分も「辛」に近い形に大きく変化してしまいます。しかし、それでもよく見れば「衣襟」を合わせた本来の形がうっすらと浮かびます。

これらの基本を踏まえて印稿・奏刀と進みます。翠龍先生にはご承諾をいただきましたのでここに印影をご紹介いたします。ご覧ください。

翠龍(2.4 × 2.4)

第25回栃木の書壇50人展出品作

令和2年2月8日(土)~17日(月)
東武宇都宮百貨店5F特設会場
栃木県を代表する50人による新作2点、合計100点を展示。作品は頒布もされました。

 今回、私が発表した作品は次の2点。

 大作の方は「学毛公鼎銘」と題した軸装三幅。西周青銅器中最多の499字の銘文を持ち台北の故宮博物院を代表する国家重要文物の一つである毛公鼎を臨書したものです。
 小品は「干支印庚子逍遙」。近年、同印文による印稿表現力の開拓に取り組んでいますが、これもその一環のひとつ。当初、十顆制作の予定でしたが、事情があり結果としてその半分になりました。参考までに印稿を一緒に紹介します。

「学毛公鼎銘」「学毛公鼎銘」

「干支印庚子逍遙」「干支印庚子逍遙」

 

庚子五種
干支印庚子印稿十種

雅印のご注文 「芳江」かな2×6用

雅印のご注文 

今回ご紹介するのは、「芳江」です。今回のご依頼主は渡辺祥蒲先生です。

この印を使用する作品の種類とサイズは、 「かな作品」、「2×6」用です。

かな作品と調和することを考えて楕円変形印を、また、印の空間が重くならぬよう「朱文」でというご希望です。

書体は今回、奇を衒わず基本的な「小篆」にしましたが、軽妙かつ洒脱な雰囲気を醸し出すために、線の質と緊張感を高めながら、一方で、造形上2字にわずかな高低差をつけ、上下の流れに回転とうねりが加わったベクトルを内包させました。

[印稿]

最初は上の印稿で進めるつもりでした。「方」は中心に向かって絞るような回転を加えることで、逆に周囲へ放射状に光を放つベクトルを内包させました。左は古璽と中山篆です。
2.8 × 1.5

 

惣誉酒造の絶品 『還』

惣誉酒造の絶品
『還』

創業明治5年、清流鬼怒川水系を伏流井に持つ老舗酒造が、蔵人の熟練の技と魂によって、伝統の「生酛づくり」による芳醇さとエレガントさを兼ね備えた深い味わいを実現。特別限定品で珠玉の一品です。幸いにも、ラベル揮毫と印制作のご縁からその恵を堪能することができました。

近作紹介 「臨陳曼簠」

近作のご紹介です。 「臨陳曼簠」
この作品は、先月開かれた栃木県書道連盟会員展に出品したものです。
今回は栃木県総合文化センターが改修中のため、会場が宇都宮市文化会館になりました。
例年と比べて展示スペースが狭くなりましたので、色紙の小作品にしてみました。
内容は、中国戦国期、陳国の青銅器銘文から「陳曼簠」を臨書してみたものです。
この時期の篆書の魅力は、何といっても列国間に個性の競演がみられる点にあるようです。

臨陳曼簠
釈文[斉陳曼不敢逸康、肇勤経徳、作皇考献叔饙盤、永保用簠] (※現代字をあてています。)