「賃(任)(佐)邦夙」 任を(受け)邦を佐け、夙(夜)
「賃」(任):2回目です。
「」(佐):旁の差は禾と左とからなりますが、禾が省形となっています。隷定にあたっては偏に獣の形である豸(タイ・チ)をあてる識者もいますが、中山器に出てくる「然・猶・獵」などと同様に獣偏でよいと思います。なお、この字について、円壺には禾を省き偏旁を入れ替えた字例もあります。
「邦」:2回目です。
「夙」:甲骨文の字形からすると、月の形である「夕」と両手で奉じ拝する形である「」(ケキ)とからなる字で、早朝の残月を拝する様です。活字体は風の凡と同じ形ですが、これは誤ったものです。また、夙の一部が前回の「受」と同じになっているのも、類型化しようとして誤ったものです。なお、「」の下部に「女」の形が入りますが、「處」字の例で明らかなように足を表す形が譌変したものと考えられます。
「夙」の各体 [字通より]