[節于 ] (インセイ)に節あり
※祭祀の際の用酒法に節度あらしめ
「節」:声符は卽。竹の節(ふし)をあらわす字。ここでは節度の意。《字通》には「〔鄂君啓節(がくくんけいせつ)〕は楚の懐王六年、鄂君に与えた車節・舟節で、銅製の節であるが、竹節の形に鋳こまれている。〔周礼、秋官、小行人〕に六節の規定があり、道路・門関・都鄙の管節はみな竹符を用いた。符節によってその行為が規定されているので、節度・節義・節操の意となり、また節侯・節奏など、すべて秩序・法度のある意に用いる」とあります。
「于」:《字通》によれば「字形は、曲がった形を作るためのそえ木。また刃の長い曲刀の形。卜文・金文のは、弓にそえ木をそえた形である」とあります。
「」(イン):小南一郎氏はこの字を、《詩経》大雅生民など古典にしばしば出てくる「禋祀」にあたり、誠意をもって神を祀ることとしています。また、白川静氏はこれを「天の祭祀」とし、さらに「垔」(イン)は竈と煙の吹き出し口の「窗」とからなる形で、「煙」の初文。「西」の部分は籠の形「西」(セイ)とは別のものであるとしています。
「」(セイ):「齊」の字形の下にある二本の横棒は簪を立てる台の形を簡略化したものです。《周禮》天官・酒正には祭祀における用酒の法が述べられていて、「辨五齊之名。一曰泛齊、二曰醴齊、三曰盍齊、四曰経齊、五曰沈齊。」と出てくる「齊」は祭祀に用いる飲み物。はこの「齊」をさします。なお、この後に続けて、「辨三酒之物…」とある「酒」は「齊」とは異なり人が飲むものためのもののようです。