一字印「明」

今日ご覧いただくのも一字印。主に少字数の作品を発表されている書作家先生からのご依頼です。「明」は殷代甲骨文のフォルムを基調にして表現しました。「明」は本来、「朙」であって偏に当たる部分「囧(けい)」は竪穴式住居の窓を表しています。また、「窓」は正字が「窗」で、「朙」の偏「囧(けい)」と同様に「囱(そう)」が窓の形を表しています。

『字通』(白川静)によれば、「黄土層の地帯では地下に居室を作ることが多く、中央に方坑、その四方に横穴式の居室を作る。窓は方坑に面する一面のみで、そこから光をとる。光の入る所が神を迎えるところであった。この方坑の亞(亜)字形が明堂や墓坑の原型をなすものであったと考えられる。」とあります。

この一字印「明」は、月の光が窓に差し込む構図をイメージした作品です。

「明」
35㎜×35㎜
ヤオトン(中国・陝西省乾県)          大和ハウス工業(株)HPより