今回ご紹介する雅印は、現代美術界でご活躍中の先生からご依頼の「卓」一字印。大きさは18㎜角です。
「卓」は大きめの匙とされています。この天星観楚簡や包山楚簡から馬王堆帛書や漢代隷書への変遷が穏やかである一方、周代金文から楚簡への変遷経緯にはなお不明な部分があります。
今回は依頼氏が既に所有されている印の書体(小篆)とは異なるものが良いと判断し、楚簡の中でも湖北省荊州の天星観楚墓より発見されたものを採用しました。天星観については、2012年に東京国立博物館で開催された特別展「中国 王朝の至宝」に展示された「羽人」や「虎座鳳凰架鼓」などが同墓出土品として知られており、文字造形につながる高い工芸技術と美意識を髣髴とさせます。