篆書は西周晩期から春秋戦国期にかけて装飾性が帯び、各国競演の様相を呈してきます。
今回は、その時期にあって妖麗で美しい銘を持つ「者■(三水+刀)鐘」(しゃとうしょう)を取り上げます。「者■(三水+刀)鐘」は春秋晩期から戦国にかけての青銅器で、京都の泉屋博古館に2器所蔵されるほか、個人蔵が8器、中国には上海博物館と北京故宮博物院などに3器の計13器があると聞いています。つまり13鐘からなる編鐘ということになります。
ここに鋳込まれた文字は長尺で身体をくねらせるような姿態で、まるで妖気を宿すかのように異彩を放っています。下掲はその妖艶なる美を求め、臨書と刻印に臨んだものです。
者■(三水+刀)鐘鉦銘b (京都泉屋博古館蔵 『楽器』(泉屋博古館発行)より転載)