ここは家蔵の書画文物コレクションをご紹介するページです。
これらの文物は、しがない教員としての薄給にもめげず、家族の反対にも耐えながら少しずつ蓄えてきたものです。先賢の文物に込めた愛情と深遠な叡智に触れるとき、書や篆刻の作品を制作する時とは全く異なる豊かで内面に滲透していく充実感で満たされます。
◎夢庵蔵印(初印原鈐本)
夢庵蔵印(初印原鈐本)
◎家蔵の拓本の中から《祀三公山碑拓》を紹介します。
祀三公山碑は、後漢の元初4年(117年)、元氏県の饑饉を救った馮氏の顕彰碑。冒頭の元初の「元」は明瞭でないが、碑文の内容から元初と推定される。この時代、公式書体は隷書であったがこれは篆書から隷書への過渡期にあたるもの。篆意溢れるその書体は同時期の嵩山少室石闕銘(元初5年118年)に相通じるものであり、その古樸寛闊な風態は開通褒斜道刻石(永平9年66年)をも髣髴とさせる。三公山碑、白石神君碑、封龍山頌、無極山碑とともに元氏5碑と称される。
碑文の中には判読が難しいものがあり、例えば一行目末尾の「…後□惟…」の□は「衆」として徐三庚も臨書しているが、家蔵の拓影を見ればこれが明らかに誤りであることがわかる。なお、碑は現在行方不明とされるが、事実を知らない。